おおきく振りかぶって

本日曇天明日は晴天。

俺はアンタと一緒のクラスになる日がくるなんて、思いもしなかったんだけど。




「合格おめでとう後輩」
「留年おめでとう先輩」


相変わらずのにかぁっとした笑いに、こいつ留年の自覚あるんだろうか、思わず考えてしまう。そうして口から出た言葉は、俺にしては嫌味な感じだった。

「ホントウニアホダッタンデスネ、」
「うわ何その棒読み口調!!」
この子ムカつくんですけど!!!
怒った口調に見せようったって、アンタその顔でほとんど相殺されてるよ、なんて口には出さないけど。なんて締まりのない顔だ。

「――んで、何、お前入んの、」
野球部、そう聞かれてうん、そりゃあね、応える。冬の終わり、寒さも最後の足掻き時。意味もなくはぁ、口を開けて息を吐き出す。白く曇って上る息の行く末をぼんやり眺めた。
「そっかぁ、やっぱり入んのかぁ、」
まぁ、お前野球好きだもんなぁ。
うんうん一人頷く元先輩・未来の同輩に、アンタはと聞けるほど流石に不躾でなくて、実際には多分不躾だとか何だとかじゃなくて、多分俺は違うんだろう。

やらない、そう聞くのが俺は嫌なだけなんだ。


「泉ー?」

「……ナンデスカアホノハマダサン」
「イヤ、だから何お前そんなに毒吐いてるん!!? 仮にも元先輩に向かって……!!」
「本当に『仮』で『元』になるんですねぇ、浜田元先輩、」
「オカアサンはアンタをそんな子に育てた覚えはありません……!!」
およよ泣く真似をする浜田を、ゴスッと入学手続きの書類で殴る。
「……そろそろ本気でシメられたいんですか君は」
いや、だから全然迫力ないって。知らぬ存ぜぬの素振りを見せれば、このヤロッ、頭を抱え込まれた。
「生意気な元後輩はこうだ!!」
「イテテテテテいて痛ぇよオイ!!!」
ぐりぐり拳骨で頭を挟まれて、何とか脱出に成功した後に、もう一度書類一式で頭をバコッ、殴ってやった。
こんな事なら簡単に出来るんだけど。

「でも、まぁアレだな、」
何だよその不自由な日本語は。突っ込めば話の腰を折るなよ! 不満をたれた。
「もし、」
「だから何だよ」
「だぁかぁらぁ、もし同じクラスにでもなったら、」

宜しくな泉!

にかぁっと笑って。


「……それって結構デリカシーなくね?」
元先輩と後輩を同じクラスに普通すんのかよ、さらりと返してやったら、うっと詰まった。
「そ、それは……、」
「まぁ、いいや、」

こちらこそ宜しくお願いします浜田元先輩。

「うわ、可愛げと生意気を足して二で割ったような返事を返しやがって……」
全くぅ、そう言いながら、やっぱり浜田は締まりのない顔を、さらに緩ませて「今更ながら本当、合格おめでとな!!」、がしがし俺の頭を掻き混ぜた。


浜田+泉:先輩後輩未来の同輩