黒子のバスケ

to be short

あのラインをもう少し動かした方がいいか。
そう聞こうと隣に立つ男を見上げて、あれ、と思った。
あれ、何だか視線が合わない、と。
見上げたときに先ずぶつかったのは眼ではなく盛り上がった頬の辺り。
あれ、と思って視線が悪戯に揺れてしまった。
いつもだったら見上げれば、少しばかり癪ではあるけれども、僅かに顎を引いて視線を合わせてくれる。
だけど、自分の戸惑いに呼応するようにその顎の引き方が一度止まって、再度動き。
じりじりと互いに距離を目測で調整して、ぱちりとぶつかる。
結果、いつもより、引き方が深く、そうして自分も曲げた首の角度が大きく。
図らずもきゅっとしかめっ面になって、足元から頭の天辺までをじぃろじろと舐めるように見て、一言。

「……なぁ、お前、もしかして身長伸びた?」

小堀、と。
ずいと一歩詰めて小堀の真ん前、爪先と爪先をぶつけての距離で見上げる。
おかしい、確か夏はまだ視線が自然合っていたのに。
習慣化した動作に生じた微妙なずれの原因を考えれば、それしかなかった。

「微妙に視線が合わねぇんだけど」
「……そうかも」

じぃっ、と。
いつものように視線を合わせようとして、いつものように顎を引いても、どうも眼ではなく眉辺りに焦点が合わさってしまうらしい。
更に深く顎を引いて漸く視線がぶつかった。

「……そうだ、な。背伸びてるな」
「やっぱり」

違和感の正体が明らかになってにぃと満足気に頷いた笠松の耳に、ミニゲーム終了とチーム交代の笛の音が飛び込んできたと同時、今の今までその試合に参加していた恋人が視界に飛び込んできて浮気だ浮気だ浮気だと叫んだ。





(他の人と視線合わせたら浮気なんスよ!)
(どんだけ束縛強いんだお前は!!)


to be short::要するに、端的に言えば

(20110707)