No pain, no gain.
強く在れと誰かが言った。
強く在ることが勝ち続けることに繋がるのだと知った。
でも、誰も。
誰も強さとは何かを教えてくれなかった。
黄瀬は勝ち続けていたから強く在ったのだけれど、けれども強さを知らなかった。
強さとは何かを知らなかった。
きっと、誰も強さとは何かを知らなかった。
だって自分達は、唯強かった。強かったから勝ち続けた。
でもそれは、強く在ることではなかったのだ。
それを今、黄瀬は知っている。
強さとは何かも、強く在るとは何かも、まだ黄瀬には応えられない。
まだ黄瀬のものではないから、黄瀬の言葉では語れない。
でも、こう在りたいと願う強さを、いつか自分の強さとして昇華して、そうして強く在れるようになりたいと思う。
そんなことを、思う。
その強さは勝利とは切り離された、それ故に見失われがちのものであるけれど。
勝利とは切り離されている強さだからこそ、きっと黄瀬は求めたのだった。
「――センパイ!」
その強さを。
no pain, no gain. : 《諺》苦難なくして栄光なし。