the first game ever played
作品の一部にR-15程度の描写を含みます。
十五歳以下の方(義務教育未了の方)の閲覧はご遠慮下さい。
唇が離れていく間ぼんやりと、これから起こるだろうことを笠松は考えた。
自分も、自分を組み敷いている黄瀬も、一切の衣類を身に着けていない有様で、ここはベッドの上。
どう考えてもこれから起こるのはたった一つの出来事で、それを考えようとすると恥ずかしさや恐怖や怯えや、そういった感情がまともな思考を撹拌させてしまう。その結果、今の今でも正直実感が湧かないままだった。
きっと物凄く痛いだろう、というか無理だろう。どうやって出る場所に入れるんだ。そもそも黄瀬は勃つのか。自分のどこに興奮するんだ。そこまで自分の躰は耐えられるのか。痔とか、そういうのは大丈夫なのか。やはり、今日は無理だ、やめよう、やめてもらおう。
暫し笠松が煩悶する様子を、その顔の両脇に手を突き上体を起こして、見下ろすように静観していた黄瀬は、短く息を吐いた。
あのね、センパイ、気持ち良かったら手上げて。
黄瀬の一言は、これから先のことをすることを前提とした一言だった。
今し方までいかにしてやめさせるかということで頭を一杯にしていた笠松がその言葉を一度で嚥下するには咀嚼が足りずに、どういう意味だよそれ、だってさ、センパイ我慢する人でしょ。
「気持ち良くても声出さないでしょ、意地張って。だったらそれでいいんで、手上げて下さいっス。歯医者さんも言うでしょ、痛かったら手を上げて下さいって」
「あれ大抵無視されるじゃねぇかよ。いくら手上げて訴えてもよ」
「うん、まぁオレも無視しますけど、でもそういう話じゃ」
「ふざけろ。解った、痛かったら手上げる。やめろよ、お前絶対やめろよ。出す直前でも堪えろ。意地でも堪えろ」
「同じ男としてそれオレに厳しいって思わないんスか、センパイ」
「全然。全然思わねぇ」
「……あのスね、本当、もう一度言うけど」
オレ、センパイがいくら痛いって、やめろって言ってもやめないからね。
その断言はどういうことだと問い返したかった。なのに、口を開く前に塞がれた。黄瀬の、女の子だったら、そりゃやめてあげられると思うんスけど、センパイ違うもん。その言葉に、息が止まった。
「怖がって、怖いの想像してやめろ言われても止まれねース。センパイみたいな意地っ張りで本当は怖がり屋の痛いだの怖いだの、全部ひっくるめて無視する。オレだって怖いんスから。意地とか見栄とか張ってられるような状態じゃあ、ないんで」
理性とか女の子に対して男なんだからとか、そういうストッパーは一切ないのだ、と。
唯もう眼の前のものが欲しいのだ、と。
真顔で伝えてくる男に、その眼の前の当のものである笠松は、理性のないセックスは虚しいのか、欲求の塊ゆえに何よりも確かなのか、などなど。色々考えて、あぁこれ奪い合いなのかもしれない、思った。
これはもう、バスケットのように、ボールを、点を奪い合って、奪われて、食い込んで、食い込まれて、相手の陣地の奥に奥に叩き込む、セックスと言うよりどうしようもない闘争なのだ。
気持ち良くなって手を上げてしまったら、それはもう白旗を揚げて降参した合図なのだ。
「……オレ、決めた」
絶対絶対、手上げないからな。吹っ切れた勢いのままに、にやり口角を吊り上げて高らかに宣言すると、上げさせるっスよ。諸手上げて万歳し続けちゃうくらいに、気持ち良くさせますんで。黄瀬もにやり、笑った。
(初めてだろうが何だろうが関係ないね!)
the first game ever played:[joc.]人類最初のゲーム[遊び]、性交。