ペイエ・パタント
オレが愛情買ってくるから、お前スマイル持って来いよ。
……それ何スか。
近所の子が言ってた。
……買ってきた愛情なんて要らないっスよ。
我儘だな。いっつももっと好き好き言えってうるせぇから譲歩してやったのに。
……そんな譲歩のされ方嬉しくないッスよ……。あ、でも、オレ愛情売ることならできるっスよ。
はぁ?
センパイ好きすぎて何か愛情溢れ過ぎてるんで、溢れた分は売る方に回せるっス。センパイ買いませんか? 今なら安くしときますよ?
……元ネタ何だ。
――ちぇ、バレたっスか。
お前の発想にしては捻りが効いてるからな。
フランスの諺っス、「登録料払うほどの馬鹿」って。フランス行ってたモデル仲間が教えてくれたっス。
……他人にくれてやれるほど馬鹿が有り余ってる馬鹿ってコトか(どうしてわざわざピンポイントでお前に教えたのがその言葉だったのか、までは考えてないんだろうなぁコイツ)
よく解るっスね!
(あ、絶対解ってない。解ってねぇよこれ)……で、いくら払えば良いわけ?
はい?
お前、愛売ってるんだろ。いくらで売ってんの
……そう、スね。それじゃ、スマイル一つで沢山あげます。
アバウトもいいところだな。
だって愛情なんて計れるもんじゃないじゃないスか。
スマイルねぇ……。
何スか、結構ハードル低くしたつもりなんスけど……それじゃ、頭撫でるの一回で――っ……センパイ。
何だよ。
何してくれちゃってんスかアナタ。
だって面倒だろ、スマイルとか、作り笑顔苦手だっての。
いやでもそこでキスいきますか、キス!
いーだろ別に。
いいですよ、えぇ確かに良すぎて、だから困るんスけど!
あ?
愛溢れすぎてるから買って欲しいのに、そんなんされたらもう溢れるどころじゃないっスよ、溢れすぎて大量在庫化するっスよ!
うぜぇ。
う、ウザイってアンタ、ちょ、酷い……っ!
全部オレが買うんだから余らせとけ。
……はい?
在庫なくなるまで、オレが買い切りしてやっから。
――困ったっスね。
あ?
だって、在庫なくなることないっすよこれ。今も着々と溢れてるんで、在庫化してるんで。
……。
……ねぇ、笠松センパイ、オレ……オレね。アナタに売る愛しか持ってないんで、だから、センパイもオレからしか買わないで下さいね、愛。
……売買される以外の愛ってのは、貰えないわけか、オレは。
――意地悪言わないで下さいっス。
意地悪なんかじゃねぇだろ。
意地悪っスよ、それ、ここまできて。
で、どうなんだよ。
――本当、イイ性格っスね? ――これから、これからも、イヤになるくらいにあげますんで……センパイ。
……ンだよ。
今日オレ、持ってないんスけど。
……駄目だ。
だって、買った愛以外のが欲しいんでしょ?
でも、そういうことじゃねぇ。
そういうコトでも、あげられるものでしょ?
……それ以外の方法はねぇのか。
ないっス。
即答かよ
んじゃ、言い直します。今オレが全部、もう溢れた分も無償提供してあげちゃいたいくらいにあげたくて、それができる方法は一つだってコトです。あげた先から補充されるんで空になることはないし。
……オレは空になるんだけど。
……え、センパイ珍しく下ネタ?
ちげぇよ!!
痛、ちょ、まじスミマっセン!
……オレ、できるのってキスくらいだろーが。
あぁ、最中……痛っ!
――だから、こっちの方が在庫切れ起こすってだけの話。
……え。
あ、でも、そうか。
え、え?
お前からもらってんだからオレもいつも補充されてる状態なのか。だから在庫切れ起こすはずもねぇんだな。
……っセンパイ何その殺し文句……!
bête à payer patente.:登録料を払うほどの馬鹿