扇情的にして消極的な彼の指
作品の一部にR-15程度の描写を含みます。
十五歳以下の方(義務教育未了の方)の閲覧はご遠慮下さい。
セックスの時、笹塚の指だけを指して筑紫はよく言う。「誘うみたいな動きをするくせに、その実唯構って貰いたいだけの子供みたいでもあるんですよね」
眼も唇も声も足も、もう躰全体がセックスをする事を知っているのに、指だけが取り残されているようだと言う。
昂る心と躰が発する熱を上手く外に出す事が出来ずに、その指先は筑紫を欲しがっては手伝って貰いたいような素振りをする。綺麗に切り揃えられた爪で筑紫の肌を裂くようになぞり、時々気紛れにかりっとその爪を立てる。そうして赤くなった箇所を五本の指全部で労わるようにさすっては、腹を使って揉み解し。指自体が明確な意思を持っているようで、筑紫の躰を食むように犯す適度な力が込められ繰り返される愛撫が、より自分の身を昂らせる事は否定しようも無く。
だが、あくまで笹塚は熱を外に出す為の手伝いをして欲しがっているだけであって、筑紫自身を欲しているわけではないのだと筑紫自身は知っていたし、だからこそ彼の幼い欲求を飲んでは何処かで歪みを生じさせた。低い体温の躰が発する熱さを少しでも自分のものにしてしまおうとして、その放熱を手伝っているのだと承知しながらも納得出来ない自分がいた。笹塚の指に構いつつも、笹塚の躰ではなく心の方に踏み込めない自分に苛立った。
――そういった筑紫の、笹塚が彼に抱く感情・思いとは別種類の感情に少しばかり塗された皮肉に、笹塚が気付いていないはずも無く、それでも尚気付いていない振りをした。言った筑紫自身もそれを了解していた。別にいつも自分に対する何か特別な言葉が欲しいわけでもなかった。ここまで自分を付き合わせたのなら、自分以外の熱を知らなければいいとは思うが、別に自分以外の肌の熱さを笹塚が知っていた所で自分に何が言えるだろうかとも思う自分もいた。統率しきれないままの酷く粘着質な独占欲と淡白過ぎるほどの諦観を、一緒くたに抱き合わせて筑紫は続けた。
「笹塚さんの指は不安定なんですよ」
だから自分まで不安になる。そう言って笹塚の青白い指先に唇を寄せ、唯その低い熱に浮かれた。
気持ち学生時代で