つい最近のものではない、けれども自分がつけたものでもない。その唐突な薄く赤い痕。 「背中、どうしたんですか」 焦点をぼかして問うてみると、彼は小さく小さく哂った。 猫だよ。猫に引っ掛かれたんだ。 彼の背中でじゃれる猫を思いながら、その猫はきっと甘い香水をつけているんでしょうね。呟いた言葉は今更だった。
今の話でもないような昔の話でもないような