銀魂

櫻始開

「オメェはいつもタイミングが良いんだか悪いんだか解らねぇな、」
「俺が怪我して暫く帰って来なかった時に限って、この桜満開になりますからね」
「俺がほうほうの体で帰って来た途端に狂い咲きって、」
「……桜の木の下には死体があるって言いますけれど」
「俺の血を吸って、この桜も色づくんでしょうかねぇ」
「お前の血でこんなに綺麗に色づいてたまるかよ」
「もっと薄汚れた色になんだろうよ」
「散々な言い様ですね、命からがら帰ってきた部下に対して」
「帰ってきたから言ってんだろうが」
「……副長、」
「俺がもし死んだら、指一本、骨一欠けらしか残ってなくても」
「この木の下に埋めて下さい」
「……死んでも尚、真選組を守るってェのか、それとも」
「真選組に縛られ続けるって言うのか」
「……そういう、意味ではないんですけれどね」
「それはそれで、いいと思いますよ」
「この桜も、真選組も、好きですから、俺」
「――山崎、」
「俺の前での戯言なら幾らでも聞いてやる。聞き流せるからな、俺は」
「だけど、」
「近藤さんの前でそんな話、すんじゃねえぞ」
「あの人は、自分の中に留めちまう人だからな」
「……そこら辺は心得てますよ、ちゃんと」
「――更に付け加えるならな、」
「随分長い間、消息断ってた人間が帰ってきて直ぐにそんな事言い出すんじゃねぇ」
「死んだら、なんてな、縁起でもねぇ事はなるべく言うな」
「……自分の前では幾らでも戯言聞いてやるって、今し方言ったばかりじゃないですか、」
「戯言ならな、でもこういう夜桜の日に死体がどうの死んだらこうのなんてのは、戯言にもならねぇ」
「寝言で充分だ」
「また、乱暴な物言いですね」
「文句あるのか?」
「いいえ」
「それならいい、黙って寝てろや」
「そうします――あぁ、副長、」
「何だよ」
「俺は真選組に縛り続けられるんじゃありませんよ」
「貴方が心配で、きっと離れられないと思うんです」
「俺が死ぬ時は、貴方の為に死ぬ時ですから」
「……言っとくが、」
「お前が死んでも、泣かねぇからな」
「そんな暇はない」
「――それで、本望です」
「それが、本望です」
「今のは――寝言ですから」
「聞き流して下さい」
「……、」
「莫迦が、」
「言われなくても聞き流すに決まってんだろ」


土山:「好きなんですよ」「山崎好きに20のお題」の一