同属好意
アンタは土方さんの事好きなんですかぃ?
露店の団子屋で空いた小腹を満たしていた最中、単刀直入に聞いてみせた沖田の、その不意打ちに、団子を口に入れたまま銀時は俯き、失くした表情を咄嗟に隠した。色素の薄い髪が銀時の眼を覆う様に落ちる。
「……好き、ねぇ、」
柄にもなく可愛らしい事言うねぇ、お前さん。
ごくり、団子を飲み込んだ後、銀時の口から小さく漏れた、鳩が咽喉を鳴らした様な笑いに、沖田はもう一度表情を変えずに聞く。いつもは飄々としている涼やかな眼が、底に濁ったものを沈めていた。刀を握る者でなくとも、背筋に冷たいものを感じるであろう眼差し。銀時はその視線を真正面からではなく、その簾の様な髪の合間から、視界の隅で受けた。
「アンタは、土方さんを――」
「同属嫌悪、」
遮り、銀時は顔を上げた。隣の自分より背丈の小さい沖田を見下ろす様に、口の端を歪め、乾いた笑みのまま言った。
「同属嫌悪ってやつだな」
それ以外の何もんでもねぇよ。
「……嫌悪、ですかぃ?」
銀時の応えに不満げに言葉を繰り返す。乾いた笑みの銀時を、濁りを沈めたまま沖田は僅かに睥睨したが、直ぐにその視線を納め一転、澄んだ――空の眼になった。
「それにしちゃ、随分と構うんですねぇ?」
のろりと、しかし言外に、切っ先を咽喉元に突きつけるに似た鋭さを秘めた調子で返せば、汚いもんや嫌いなもんだからこそ、ついつい見ちまうもんだってあるだろう。銀時はその刃を綺麗にかわした。
「俺はとことん、多串君が落ちるか否かを見たいのかも知れねぇな」
それで、俺が落ちるのを「手助け」できりゃあ、それこそ最高にいいつまみよ。
さらりと言ってのけた銀時の横顔からは、それ以上何も見出せず――決して裏を探らせてはくれなかった。視線も何処か遠くを見たままで、その先にあるものは沖田には判らなかった。
「……アンタも、随分と捩れたお方でさぁ、」
根負けした体を装い、本音を見せないんだからねぇ、溜息と共に吐き出せば、君も同じようなもんでしょうが。銀時は乾いた笑みを閉じ、ここの、店のぼろさに比べてかなりうめェよ、一本くらいならやっても良いぜ? いつものにたりとした、それでいてずっと銀時らしい軽さに似合った顔を見せて、沖田に団子を差し出した。