銀魂

白く死ぬ神

「嬉しいねぇ」


お迎えにくるのは、黒いもんだと思ってたんだよ


「真っ白な、真っ白な、」



死神様だ





























……違う。



違うよバァさん。








俺は唯の人間だ。












天人殺して血の中駆けずり回って
もう天人の血なのか仲間の血なのか自分の血なのかすら判断出来ない様な、そんな状態になっても
刀、放す事が出来なかった
唯、斬って捨てて殺して殺されない為に
生きる為とか何かの為とかそんなんなくて唯殺されない為だけに
それだけの
大義とか志とか立派な胸張れるもんなんかなくて多分でも最初はあったけど
もうそれがどんなものだったのか覚えちゃいなくてそれだけの為に



























逃れ辿り着いた廃屋。誰もいはしないだろうと、転がる様に上がり込めば、独り住んでいた老婆がびくり、今まさに腰を浮かせて逃げようとしていた。齢は六、七十か。これ以上白くなりようのない蓬髪をそのままに、腰が直角に曲がりきったその姿は、長い間農作業に生きてきた事を示し、刀や争い事と縁遠い世界に住んできた事を表していた。

『、おい、大丈夫だ、』
手負いの獣が呻く様な低い息は、同時に荒々しく、切迫していた。銀時はもう一度、大丈夫だと老婆に向かってその掠れた声を発した。

殺しや、しねぇよ。

彼の言葉のどこまでを信じたのかは解らなかったが、老婆は銀時が家に上がりそのまま倒れ込むのを見て、逃げるどころか何も言わずに傷の手当てをした。

『息子がね、攘夷に参加してんだよ、』

老婆はそう言ったきり、何も言わなかった。
己の血塗れの姿を見て攘夷志士だと、そう自然受け止めた様だった。

多分、息子が攘夷に参加した途端に、天人と、息のかかった幕府の人間が老婆の住んでいた村にやってきたのだろう、銀時は察しをつけた。
息子が攘夷に参加したとなれば、この老婆の行く末は明白であり。
村八分。
大方後付の、幕府が急拵えした村の掟を破ったとして。

見せしめか。銀時は誰にともなくそう呟き、そうして腹の底、胃の底でのた打ち回る澱み腐ったそれが心臓を押し上げて咽喉元までせり上がるのを感じた。
見せしめかよ。
繰り返し、繰り返す度に自分の臓腑ははちきれんばかりに怒りを孕んだ。
年老いた父を母を、村八分にし、攘夷志士は粛清し、その首を川原に晒し。
汚ねぇ。
言葉にするだけで、怒りは簡単に増幅した。どの感情との交わりの結果か、孕んだ怒りは膨れ上がり猛るばかりではあったが、その反面どこかで冷めていくものも在る様に感じ、それは明確な形も温度も持たないままに磨り減っていくだけで、産み落とされる事のないままに流れそうして何も残しはしなかった。










老婆が死ぬ、その日までは。




























なぁ、

銀時は老婆の亡骸に向かって、ぽつり、呟いた。


俺は、神様なんて上等で偉ぶったもんでもなくて、
そんな糞の役にも立たない様な存在よりももっと卑小で矮小で、
神様って奴からしたら多分もう蟻みたいな存在の人間ってやつで。


バァさん、よく見てくれ。
違うんだろ。

違うんだよバァさん。


俺は唯の人間なんだ。

『死神様』


俺は、唯の哀れな夜叉になりかかった、
血反吐出そうなくらいに、
人間、で。


『真っ白な、』


よく見てくれよ、
こんなに血に塗れているじゃねぇか。


『黒いもん』


あぁ、俺は赤い、
黒いもんよりタチの悪ぃ、赤い、
それでも血に狂う鬼にすらなりきれない、
血から肉まで骨の髄まで、魂までも
人間、で。


『嬉しいねぇ』



……なぁ 違うだろ?


バァさん、あんたもっと違う死に方あっただろう?

きっと村の奴らが見てくれる様な看取ってくれる様な、
そういう、穏やかに安らかに死ねる、そういうので、あったはずだろう?







祖父を祖母を父を母を兄を姉を弟を妹を友を全てを巻き込み、

孤独に死ななくても良かった人間までをも孤独に死なせる、


俺達は、




















これは、どうして何の誰の為に始められた











































負け戦

















銀時:攘夷:骨の隋まで血反吐出るくらいに人間