銀魂

一抹の、

彼は多分に自分の事を解っていた。
自分の事が解らずして出来る仕事ではなかったからだ。
だからこそ、骨の髄まで自分を殺す事を望んでいる様な
そういう一種破壊衝動を抱えて生きてきた事も自分自身が解っていた。
愚かだと、誰が己を笑う事が出来ようか。
自分自身の首筋に刀のその薄い刃を当てた時の、線の感触を覚えている。
恐らくは自分が「真っ直ぐ」に何かを出来たのは之れが初めてだった。
真っ直ぐ、真っ直ぐ。
赫い線が首筋に綺麗に引かれた。
線の先にぷくり、膨らんだ血の玉。
血の臭いがしない血というものも在るのだと、不思議に思った。
錆びた鉄の臭いに慣れた彼のその鼻は、己の血の臭いを認識しようとはしなかった。
其れは自身が斬られた事を意味し、死に直結する事項だったからだ。
「山崎、」
その声に之れが「お迎え」かと思った。




其れは遠くは無い過去。
浅き日々の一抹の出来事。


山崎:過去:真っ直ぐに真っ直ぐに